日本財団 図書館


 

競合する道外造船所動向を含む経営外部環境をタイムリーかつ正確に把握することで、顧客との作業船市場に関する認識にギャップを生じさせないことが、今まで以上に求められるであろう。
?B情報収集能力の強化
海洋土木事業者、クレーンメーカー、仲介商社との関係づくりを積極的に行っており、情報入手ルートも幅広い。今後はそうした情報ルートを自社の経営資源とし、情報を経営戦略に反映させていくことが望まれる
D 協業化・共同化の取組
社長の人脈や地縁等による協力関係がうまく働いており、間接部門業務の外注活用や、現業部門以外の人員を抱えない体制を敷いている点がA社の強みの一つである。こうした外注活用が積極的に図られることで、人件費などの固定費負担の軽減化がなされている。また、納期の時期的集中や短納期要求への対応もある程度柔軟に対応できており、受注ピーク時には、協力工場からの労働力支援や外注(ブロック建造など)で対応可能な仕組みができているといえる。つまり、製造過程における協業化はかなりの程度進展していると評価できる。
しかし、共同化の側面からは、現状の外注活用型の仕組みにおいては、いわば「ゆるやかなネットワーク」の域を出ていないものと考えられる。こうした既存の関係・仕組みを強化、結束することによる違った方向での成果=スケールメリットの醸成も志向すべきである、
E 石狩湾新港における作業船修繕能力の増強
A社は建造造船所であるため、ここでは考慮しない。
以上が、業界に対する「今後とるべき経営方針」の提言をA社に適用し、現在の経営状況における評価を行ったものである。その結果、A社においてA〜Cの経営方針については、現在も相当程度の取り組みがなされ、その成果も上がりつつあると評価できる。「D 協業化・共同化の取組」について、協業化についてはその実践がみられるものの、共同化については、根本的に踏み込んだ検討が必要であると判断される。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION